2006年06月23日

テキーラ風呂

N氏とカミさんと私の三人で、六本木のテキーラ・バー「agave」のテキーラセミナーを受講してきた。セミナーといっても、旨いテキーラをかぱかぱ飲んで増々愛そうという、呑んべえな企画である。細かいスペイン語の単語は忘れてしまったけれど、竜舌蘭の収穫や醸造所の解説をスペイン語混じりで説明されつつ、なかなかお目にかかれないテキーラをちびちび嘗める。旨い蒸留酒というのはその種類に関わらず、あるレベルを超えた時点で原料がどうとかっていう問題ではなくなってくるものだな。

なかでも特に興味をひいたのは、本場メキシコではテキーラの風呂に入るというくだり。日本酒の酒造で杜氏が長い板っ切れを使い、樽を混ぜる光景を見かけるが、メキシコの酒造では人間自らが樽に飛び込み、更なる酵母の活性を促すために混ぜ混ぜするのである。ボトリングされたテキーラにはそんな男達の汗その他が物理的に染み出しているのである。皆、これを知ってますますテキーラが好きになることだろう。貰ったお土産の袋のずっしりした重みが嬉しい。


セミナー終了後も何杯かおかわりをして飲み、ふわりふわりと脳みそが宙に浮かんできた。メキシコ的に。終電まで間があったので、ついでといってはなんであるが六本木ヒルズのバー「ハートランド」にも寄ることにする。どうでもいいのだけど、このビルは回りくどい造りになっていて、非常にイライラさせてくれる。こんなところに住みたい奴の気が知れない。知って欲しくば一部屋くれてみろ。

「ハートランド」はDJがハウスミュージックをがんがんかけていて、スタンディング、キャッシュオン式になっている。平日なのにカウンターに辿りつくのにかなり苦労するくらい人が入って、盛り上がっていた。客は9割くらいが外国人で、各々緑色のハートランド瓶を傾け、談笑している。スタンディングだから、バーというよりクラブみたいな雰囲気だ。

ギネスのドラフトを置いているアイリッシュパブも外国人は多いが、ここまで割合が高くはないと思う。そのためかどうか、いかにも外国人的なフレンドリー風な空気が店内を満たしていた。ちょっと道を譲ればにっこり笑顔を向けてくるし、たまたま目が合った女の子はなんだかべらべらっと英語で喋りかけてきた。何と言われたのか解せず残念だが、アナタの帽子はかわいいわね、てな内容を言われたってことにした。こういうバーはひとりで来て飲んでても淋しいことはないだろう。

ディスコやクラブはそもそも欧米の文化であるが、やはりこういう気質をもっている人種が考え出した遊び方なんだと改めて思う。クラブは踊る、飲む、音楽を聞く、という機能を持っているけれど、何といってもやはりメインの存在目的は社交場、なのである。無礼講とはお互いにそういう意識でなければ成立しないが、日本人中心のクラブにはそういう意識でいる客は少ないように思う。有名DJを見に行く場所、というような一方通行な楽しみ方がまだまだ一般的だ。かく言う私も日本人だし、どっちが遊び方として洗練されているかなんてことはどうでもいいけれど、いままでさして興味のなかったロンドンやニューヨークのクラブにちょっとだけ行ってみたくなった。
posted by abesin at 01:33| Comment(0) | TrackBack(0) | 未分類
この記事へのコメント
この記事へのトラックバックURL
http://blog.sakura.ne.jp/tb/56163516

この記事へのトラックバック
<< 2023年01月 >>
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31        
過去ログ