沖縄の亀甲墓に似た形の、赤土で作った登り窯だ。
炭って、木材を焼いて燃え切る前に寸止めして作っているのかと思っていたが、どちらかというと燻製に近いのだな。
塩炊きにも共通するが、火は良い。火は、太陽から降り注いだエネルギーを樹木が蓄積して、それが再び宇宙へ還る瞬間の連なりである。昔話に出てくる炭焼き人は、妖しに襲われても負けないと相場が決まっている。火を扱う職業は聖職だったんじゃなかろうか。
夕闇迫る山中でじっと炎を眺めていると、日々の些事で追いたてられていた気持ちが解け、のんびりいこうよと語りかけられているようだ。蜜柑の木を燃やしてこれだけの呪力を発するのだから、ウランを燃やすなど人の手に余るというもの。
彼はここで三日三晩、寝ずの番である。