2012年11月07日

鹿と太鼓

地元の達人に声をかけて頂いて、罠で捕えた鹿の解体を見学させてもらうことになった。カルカッタのカーリー寺院でヤギを生贄として屠る儀式は見たことがあったが、解体をつぶさに目にするのは初めてのこと。

※狩猟は免許が必要です。屋久鹿を勝手に捕まえて、ひん剥いたりせぬように。



しか.jpg

屠り方や血抜きのやり方は色々と流儀があるようだ。ここらではハンマーでこめかみを殴り、首を切って血を抜くのが多いようである。モンゴルでは生きたまま羽交い締めにし、胸を切ってそこから腕を突っ込み、心臓の血管をキュっと押さえて屠るらしい。

いよいよ解体である。後足をきびって(紐で結わえるの方言)吊るし、腹の中身を出し、首を落とす。足首の周回に切れ目を入れ、そこから毛皮を剥いでいく。前足と後足を関節に刃を入れて外したら、ヒレ、ロース、スペアリブと部位ごとに切り出していく。主に出刃包丁を使うが、場合によってはノコギリも使う。

内臓はレバーやマメ、タンまで食べられる。毛皮も鞣せば使えるし、捨てる部位は少ない。作業は小一時間。彼らにかかれば人間だってあっと言う間にバラして山中に埋めることができるだろうな。食べるんじゃなければ皮を剥がなくていいしな。


スーパーの魚が切り身で泳いでいると思っている、なんてのが使い古された言い回しになって久しいけれど、これだけの大きさの生き物が解体される姿を目のあたりにすると、生き物を食って命を長らえている自分にリアリティが出てくる。自分の腹だって、捌けばいま目の前に晒されて蝿がたかりはじめている鹿のワタと似たような臓物が詰まっているのだ。

近代的な屠殺場も公開して、小学生の遠足ででも見せたらいいのに。自分だったら子どもの頃に見たかったと思う。


夜はtaikoronicaの相方、幹くんがやっているバンドのメンバーである奈良大介氏にお会いした。氏が屋久島は高平の天然村に来ていて、ジャンベのワークショップを開くというのでお邪魔してきたのである。

天然村に着いた頃にはワークショップは佳境に入っていて、ぐるり輪になった太鼓群のポリリズムがうなりをあげているところだった。隅っこで暫く聴いていたら、振動でじんわりと血行がよくなる。奈良氏は天然村の天然人たちに囲まれながら、そこに住んでいるかのように場所に馴染んでいて笑った。

今週の屋久島南部は今日の高平と明日以降に春牧、安房でのダンスワークショップ、ライブと、アフリカ週間である。
 
posted by abesin at 23:59| Comment(0) | 未分類
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