2012年02月15日

貸家について

この島の賃貸住宅事情はなかなか厳しい。

まず不動産屋がない。あっても扱っている物件は都会並みの値段だ。リタイアした小金持ちの年配夫婦向けなんである。

一部の企業が社宅を確保するために家賃相場を吊り上げてしまっているという噂もある。


ではどうするかというと、知り合いを通じて貸家を探すのであるが、情報を集めること自体は難しくない。

狭い集落の人間関係なので、誰それが大阪から帰ってきていて、お母さんが入院中などといった情報通がたくさんいる。


何が難しいかというと、そもそも貸すために建てた家というのが殆ど無いのである。

だから、貸家があったとしたら自分達が住むために建てたけれど特殊な事情で貸さざるを得なくなった場合に限られる。

貸しても賃料はたかがしれているし、年に一度の帰省のために空き家にしておくことも多い。


そんなこんなで、なかなか家が見つからないのだけれど、逆に考えると、都会で簡単に家が見つかるというのは、そもそも貸すための目的で建てた家が溢れているということだよな。


不動産以外でも、便利な電車、安い外食チェーンなど、身の回りのあらゆるものごとは、誰かの投資の結果だったんだなと、実際に田舎に住んでみて身をもって分かる。


そんな都会の便利な側面だけを抽出すれば良いように思うけれど、それは即ち、資本を手に入れた人間にちょっとずつ上前をハネられないと暮らしていけないということでもある。

それは恰も自分自身を人質にとられているかのように見える。
posted by abesin at 23:59| Comment(0) | TrackBack(0) | 未分類
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