2011年07月14日

雨の結界

目が覚めると、フェリーは朝焼けの中に種子島を出港するところだった。

ここからはあと二時間半の航海。

屋久島の島影が見えるころ、空には虹がかかった。島に近づくにつれ、虹は濃くなり、二重になり、歓迎してくれているかのようだ。種子島で殆ど下船してしまい少なくなっていた客は皆、甲板へ出てカメラを構える。


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島の圏内へ入ると、虹は消えて土砂降りになった。海上はすこんと晴れているのに島の上空だけ厚い雲がかかっている。島の峰が急激にそそり立っているのでそこに雲を蓄えるからだ。箱庭で気象実験を見ているかのようなダイナミックな光景である。

雨の島に来るというのに傘もカッパも持っていなかったので、着岸してから暫く待合室で雨宿り。他にも数人の貧乏旅行者が(そもそも貧乏旅行者しか乗らない船だ)雨やみを待っていたが、だれも焦れた様子はない。

いつもお世話になっている宿、晴耕雨読へ顔を出すと、奥さんがコーヒーを淹れてくれた。島の仕事や家の話になると、あそこは誰それさんが〜なんて、台帳を繰りながら話しているかのように顔が繋がっている。
posted by abesin at 23:55| Comment(0) | TrackBack(0) | 未分類
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